「抱き癖」という言葉を聞いたことがあるママは多いのではないでしょうか。
そもそも、抱き癖ってなんなんでしょう。抱っこに「癖」もなにもありません。赤ちゃんはママに抱っこしてもらうと安心するし、抱っこされるのが大好きなんです。そんな大好きなママの抱っこを、抱き癖がつくからといって生まれて数ヶ月の赤ちゃんから取り上げてしまうのは酷なお話しです。
なぜ「抱き癖」なんて言葉が生まれたの?
おばあちゃんや周りの人に「抱き癖がつく」と注意されたことがあるママもいると思います。確かに私たちの母親の世代は「抱き癖がつくから、すぐに抱っこしてはいけない」という育児方法でした。
戦後、アメリカの育児方法が取り入れられ「抱き癖」という言葉が生まれました。自立心を育てるために赤ちゃんと別室で寝て、泣いてもすぐに抱っこしないという育児は当時のアメリカでも推奨されていました。抱き癖をつけないことは、社会に出て働く女性を増やすために都合がよかったのです。
ですが、泣いてもすぐに抱っこしないという子育ては「サイレントベビー」と呼ばれる赤ちゃんを生み出すことになってしまいました。
サイレントベビーってなに?
抱き癖がつくからといって泣いてもママが抱っこしてくれないと、赤ちゃんは「泣いても無駄なんだ」と思って泣かなくなります。それをママは「あまり泣かなくていい赤ちゃん。抱き癖をつけなくてよかった」と勘違いしてしまうのです。
初めのうちは生理的微笑で笑顔を見せていた赤ちゃんも、月齢が進むにつれ「笑わない」「目を合わせない」「蛍光灯ばかり見ている」などの症状を見せはじめます。泣いてもママは抱っこしてくれず、唯一蛍光灯だけが赤ちゃんの不安を取り除く存在になってしまっているのです。4ヶ月検診など、ほかの赤ちゃんと比べて初めて異変に気付くママもいます。
抱っこをあまりしてもらえず、サイレントベビーとして育った赤ちゃんは精神的に不安定になり、不登校や暴力を振るうようになったり、薬物やアルコール・ギャンブル依存などの依存症になってしまうこともあります。
また、赤ちゃんはたくさん泣くことで呼吸器などの内臓が鍛えられるので、泣かなくなってしまったサイレントベビーの赤ちゃんは病気になりやすくなるといわれています。
たくさん抱っこすると赤ちゃんの心が育つ
赤ちゃんの頃にたくさん抱っこをしてもらうと「自己肯定感」が育ちます。この自己肯定感というのは、成長し生きていく中でとても大切なものです。
たとえば、自己肯定感が高い子どもは人との関わりを好み、学校の部活や勉強、習い事などを「楽しい」「夢中になれる」と感じて、意欲的に取り組むことができます。
ですが、自己肯定感の低い子どもはひとりでいることを好み、学校を楽しいところと思えない子が多いのです。家でパソコンや携帯であそぶことが楽しく、引きこもりになってしまうことがあります。
自己肯定感が高いと失敗してもまた挑戦する強い心や、気持ちにゆとりがあるのでやさしい心が育ち、自然と友達や仲間が集まってきます。
「やさしい子に育って欲しい」「簡単に諦めない強い子に育って欲しい」という親の願いは、赤ちゃんのころにどれだけ関わり、赤ちゃんの抱っこして欲しいという要求に応えてきたかが重要になるのです。
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